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2007年6月9日 更新

超小型MP3プレーヤー [ Timpy ]
 
Rev4.0 【FMチューナ付きヘッドフォン内蔵型+ワイヤレスリモコン】

Timpy シリーズ・ラインナップ

Rev3.1 【ATH-EM7タイプ】

Rev5.0 【FMチューナ+ワイヤレスリモコン+USB】


Timpy Rev4.0

FMチューナ付きヘッドフォン内蔵型

ワイヤレスリモコン】

超小型MP3プレーヤ [Timpy] Rev4.0

超小型MP3プレーヤ [Timpy] Rev4.0

2006年1月 完成

★回路図その他、技術的な説明はこちらへ
Timpy Rev4.0 技術情報

Rev3.0の軽快さをそのまま維持しつつ、FMラジオと、カラーグラフィック液晶付き赤外線ワイヤレスリモコンを付加しました。

最近のMP3プレーヤには、FMラジオが付いているものが増えてますね。
完成から1年、通勤途中で毎日快適に使ってきたRev3.0ですが、
  『FMラジオ・・・ちょっといいかも』
ということで、Rev4.0計画がスタートしました。

小さなヘッドフォンにFMラジオを追加するには、非常に小さなFMチューナ回路が必要です。
このデバイス探しには本当に苦労しました。
そしてようやく入手できたのです。わずか7mm角の1チップFMチューナ、NS953M。

早速テスト回路を組んで見たところ、こんな小さなデバイスなのに、これが良く鳴るのです。
  『すばらしい!!!』
これでFMラジオのめどはつきました。

でも問題点がひとつ。
Timpyの操作系は4つのプッシュスイッチです。表示系はありません。
MP3ならば、今どの曲を聞いているのかは聞けば分かることですが、ラジオの場合には、今どのラジオ局を聞いているのかがすぐには分かりません。
何らかの形で、それをユーザ(つまり私)に伝える方法が必要です。
プリセットされたラジオ局に加えて、マニュアル同調のことも考えると、ラジオ局名と周波数の両方を何とか表現したいところです。

周波数だけならば、バッテリ電圧の表示と同様に、周波数を2進数でコード化してビープ音の音程で表現することはできるのですが、ここはひとつ、ちょっとがんばって、リモコンを作ることにしました。

リモコンにもこだわってみました。
Timpyの最大の良さであるヘッドフォン内蔵型を維持するため、赤外線によるワイヤレス方式です。
表示部は160ピクセル×120ピクセルのカラーグラフィック液晶です。
これなら漢字表示も問題ないでしょう。やはり曲名表示には漢字を使いたいですよね。
操作性向上のために、ロータリーエンコーダによるダイヤルも付けました。メニュー選択やFMのマニュアル同調もこれでOKです。

ただし、リモコンはあくまでも操作性を向上させるためのものです。
Rev3.0と同様に、ヘッドフォン本体のみで動作し、全ての機能を操作できる点は変わっていません。

変わった点といえば、Rev3.0までは記録メディアにminiSDカードを使っていましたが、Rev4.0ではトランスフラッシュを使うことにしました。
miniSDではヘッドフォンに収まらなくなったからです。
4層板でリフローが使えれば収まると思いますが、そうもいきませんので。
使うのは自分ですから、何でもアリです。

--

》特徴

*耳かけ式ヘッドフォン型のMP3プレーヤです。かばんの中でもかさばりません。
*巻き取り式なので、コードが絡まってイライラすることはありません。
*前回停止したところから再生します(曲中レジューム)。
*早送り系の操作として、曲ごとの送り/戻し、フォルダごとの送り/戻し、曲やフォルダをまたいだ早送り/巻き戻し(送り中のプレビュー付き)ができます。
*好きなところにマーカを1箇所設定して、ジャンプできます。
*1曲リピート、ディレクトリリピート、全曲リピートができます。
*トーンコントロールできます。低域と高域をそれぞれ2段階で強調できます。
*充電式バッテリ(リチウムポリマ電池)を内蔵しています。
*バッテリの電圧が低下すると、自動的に省電力モードになります。
*MP3データのストレージメディアとしてTransFlash(トランスフラッシュ)カードを使用しています。
*FMチューナ内蔵です。
*カラーグラフィック液晶とダイヤルつきのワイヤレスリモコンで、操作性は良好です。もちろんリモコンがなくても操作できます。
*JIS第2水準までの漢字フォントを内蔵しています。曲名/アルバム名/アーティスト名を日本語で表示できます。
*ID3タグV1.0/V1.1に対応しています。

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》ヘッドフォン本体
全体
完成しました

ヘッドフォンにはRev3.0と同じRP-HS102を使いました。今回もマットブラックです。
もちろんネックコード巻き取り機能付きです。外見はRev3.0とほとんど変わりません。

ネックコードは交換してあります。もともと付いているものは被覆が樹脂でできたグレーのコードですが、長さ約90cmの編組被覆のものに換えました。もともと付いているコードではFMラジオのアンテナにするには短いために交換したのですが、ついでに、癖がつきにくい編組被覆のものにしました。

赤外線送受信部
赤外線通信の送受信部

Rev4.0での特徴のひとつ、リモコンと通信するための赤外線送受信部です。
写真中央、横長の黒い長方形が受光モジュールです。
その右隣に丸く、赤外線LEDが顔を出しています。

TransFlashカード挿入口
トランスフラッシュ挿入口

トランスフラッシュカードはここから入れます。

現在は名称が変わって、microSDカードになりましたね。

トランスフラッシュカードをセットしたところ
トランスフラッシュをセットしたところ

カードをセットするとこんな感じになります。
カード全体が中に収まってしまうため、
ちょっと見ただけではわかりません。

指の先でカードを少し押し込むとイジェクトできます。

内部の様子
内部の様子

Rev4.0の基板はこのヘッドフォンの寸法に合わせて設計してあります。

このケースの改造はもう慣れました。(^^;;)

Rev4.0 ヘッドフォン本体基板
基板(表面)

以前と同様、回路図作成と基板設計はEagleで行いました。製造はP板.comさんです。

機能が増えたため、プロセッサをRev3.0よりひと回り大きいC8051F311に変更しました。基板の左上です。
右上がVS1011B、左下の銀色がチューナモジュールNS953Mです。
その右がトーンコントロール/電子ボリュームのTDA7463AD。
右下の小さいのがヘッドフォンアンプLM4911です。基板が小さいので、OCLのものにしました。
基板最下部の突き出した部分に、赤外線通信のための受光モジュールと、送信用LEDが付いています。

Rev4.0 ヘッドフォン本体基板 - 裏面
基板(裏面)

基板裏面です。
トーンコントロールや、IC間のAC結合などのために、かなりの数のCR類が付いています。
それにしても、トランスフラッシュは小さいですね。

写真右の十字型の基板は、操作スイッチ用の基板です。
Rev3.0ではスイッチをケース内側に直接接着していたのですが、結構面倒な作業なので、基板にしてみました・・・が、
残念ながら基板の厚さ分が収まりませんでした。これでも0.8mm厚なんですけどね。本当にぎりぎりなんです。

Rev4.0 ヘッドフォン本体基板 - Rev3.0との比較
Rev3.0と大きさ比べ

Rev3.0と並べてみました。

基板サイズが多少大きくなっていますが、機能が増えた割には良く収まったと思っています(自画自賛)。
実際、基板設計が結構大変でした。

トランスフラッシュカード
microSD (トランスフラッシュ)カード

FMチューナや赤外線通信などの機能追加に伴って、miniSDでも組み込みが難しくなったため、思い切ってmicroSDカードを使うことにしました。
以前はトランスフラッシュカードと呼ばれていた、新しいメモリカードです。
携帯などで使われていますね。

写真は大きさ比べです。左から、SD、miniSD、トランスフラッシュです。(右下はトランスフラッシュ用のコネクタ)
とにかく小さいです。落としたら見つかりません。きっと。

NS953M動作テスト基板
FMチューナ

新潟精密株式会社さんの完全1チップFMチューナモジュール、NS953Mです。
写真は動作確認のために組んだバラックです。

わずか7mm角でバリキャップなども全て内蔵しており、IFTはじめ外付けのインダクタ類が一切不要な最新型のデバイスです。
I2Cインターフェースを通してデジタル的に制御できます。

このチューナについては技術情報のページを参照してください。

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》ワイヤレスリモコン
ワイヤレスリモコン全体
完成です

寸法は縦62.5mm×横49.5mm×厚さ13mmです。
中央は液晶パネル、右の黒い部分3箇所がプッシュスイッチです。
右上角の丸くなっているところには、アップ/ダウン操作用のダイヤル(ロータリーエンコーダ)が付いています。
左上の小さな黒丸2つは、左側が赤外線通信の受光部、右側が送信用の赤外線LEDです。

写真の表示はプレーヤ本体が停止しているときのものです。
Rev1.0の頃のデザインを使って、ロゴを作ってみました。(^^)
カラーグラフィック液晶付きですから、このくらいはしないと、ね。

MP3プレイ中の表示
MP3プレイ中の表示

MP3を再生しているときの液晶表示の様子です。
最上部2行はステータスエリアです。
ボリューム値、トーンコントロール設定、本体とリモコンそれぞれのバッテリ電圧、再生中の曲番号、赤外線通信の状態が表示されています。

右端は操作用スイッチのファンクションを表示するエリアです。

中央にはRev4.0のロゴの下に、再生中の曲名、アーティスト名、アルバム名と再生時間がリアルタイムに表示されます。

MP3曲セレクト実行の様子
MP3曲セレクト実行の様子

曲リストからダイヤルで選んで、OKのスイッチを押すとジャンプします。

曲数が多い場合には、もちろんダイヤル操作に合わせてリスト表示がスクロールします。
このリストで曲をセレクトしてから、約5秒間操作をしないと、上のプレイ中表示に自動的に切り替わります。

MP3コマンドメニュー
MP3コマンドメニュー

MP3のプレイ中にメニューボタンを押すと、MP3関連コマンドのメニューが表示されます。
ダイヤルで選択してOKを押すと、そのコマンドに応じたサブメニューが表示されます。
写真はリピートモードを設定しているところです。

FMラジオ受信中の表示
FMラジオ受信中の表示

FMラジオモードのときは、プリセット局のリストが表示されます。
受信中の局は反転表示になります。

ラジオ局の選択は、MP3の曲セレクトと同様に、このリストからダイヤルで行えます。
,この中で、私の家で聞こえる局は、InterFM、beyfm、FM-FUJI、NACK5、TOKYO FM、J-WAVE、NHK-FM、FMヨコハマです。
ヘッドフォンを耳に掛けた状態でネックコードをいっぱいに出し、窓際で試してみました。

FMコマンドメニュー
FMコマンドメニュー

FMラジオ受信中にメニューボタンを押すと、FM関連コマンドのメニューになります。
写真は、ダイヤルでのマニュアル選局をしているところです。
普通のラジオの選局ダイヤルと同じような感じで、0.1MHz刻みで76.0MHz〜90.0MHzまで選局できます。

Rev4.0 ワイヤレスリモコン - 木製ケース
木製ケース

ケースは木で作りました。
写真は塗装する前のものです。

天板、底板には、薄くても強度のある1mm厚の航空ベニヤを使いました。
その他の部分はヒノキです。

構造を考えながらだったのでここまで丸2日くらいかかりましたが、久しぶりの木工作業はとても楽しかったです。

Rev4.0 ワイヤレスリモコン - 木製ケース外観(表面)
ケース外観(表面)

ケースを斜め上から見たところです。

エンコーダのダイヤル部分はこんな風になっています。

Rev4.0 ワイヤレスリモコン - 木製ケース外観(裏面)
ケース外観(裏面)

ケース裏面です。

操作スイッチとは反対側の辺の角を斜めに落としてあります。
これだけで見た目のボリューム感がぜんぜん違います。とても小さく見えるようになりました。

Rev4.0 ワイヤレスリモコン
リモコン基板(表面)

この基板も設計はEagleで、製造はP板.comさんです。
ヘッドフォン本体の基板と異種面付けをして、一括して製造してもらいました。

液晶はHantronixのHDM1216C-2という、小さなカラーグラフィック液晶モジュールです。
40mm×50mmほどの小ささながら、120×160ピクセルのカラー表示ができます。
フォントにはここの12×10ピクセルのビットマップフォントを使わせていただきました。m(__)m
半角から第2水準まで全部組み込んであります。全角で10文字×16行表示できます。
この液晶のバックライトはLEDなので、チャージポンプICをPWM制御して、輝度を調整できるようにしています。

Rev4.0 ワイヤレスリモコン - リモコン基板(裏面)
内部の様子とリモコン基板の裏面

下半分の銀色はリチウムポリマ電池です。電池と基板の間に、液晶モジュールのコントローラ部がはさまれる形で収まっています。
液晶のコントローラ部と表示部の間はFPCになっているので(下の写真参照)、そこで折り返してコントローラ部をリモコン裏側へと回し、基板と接続するようにしました。

リモコン側は基板面積に余裕があるので、プロセッサにはピン数の多いC8051F310を使っています。
基板右上に縦に2個並んでいるのはEEPROMです。フォントや曲名データなどの格納用です。
左上の丸いものがダイアル操作用のロータリーエンコーダです。ダイヤルそのものは市販の樹脂ギヤを削ってはめ込み、接着してあります。

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》技術情報

回路図その他、技術的な説明はこちらへどうぞ。
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