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2008年10月26日 更新

超小型MP3プレーヤー [ Timpy ]
 
Rev5.0 【FMチューナ+ワイヤレスリモコン+USB】

Timpy シリーズ・ラインナップ

Rev4.0 【FMチューナ付きヘッドフォン内蔵型+ワイヤレスリモコン】

Rev6.0 【クリップ型MP3プレーヤ+インナーイヤーヘッドフォン】


Timpy Rev5.0

FMチューナ+ワイヤレスリモコン+USB

超小型MP3プレーヤ [Timpy] Rev5.0

2007年1月 完成

回路図その他、技術的な説明はこちらへ
Timpy Rev5.0 技術情報

前作のRev4.0にUSBインターフェースを追加しました。

PCと接続するとリムーバブルディスクとして自動認識されます。
本体にセットしたmicroSDカードへエクスプローラなどでアクセスできます。
曲データの管理がとってもお手軽になりました。

併せて、バスパワーで内蔵バッテリの充電もできるようにしました。

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》特徴

*耳かけ式ヘッドフォン型のMP3プレーヤです。かばんの中でもかさばりません。
*ヘッドフォン自体がプレーヤ本体ですので、他に何も要りません。うっとおしい長いコードもありません。
*ネックコードは巻き取り式なので、コードが絡まってイライラすることはありません。
*本体付属のスイッチだけでも全ての操作ができますが、操作性向上のためのワイヤレスリモコンも作りました。
*前回停止したところから再生します(曲中レジューム)。
*早送り系の操作として、曲ごとの送り/戻し、フォルダごとの送り/戻し、曲やフォルダをまたいだ早送り/巻き戻し(送り中のプレビュー付き)ができます。
*好きなところにマーカを1箇所設定して、ジャンプできます。
*1曲リピート、ディレクトリリピート、全曲リピートができます。
*トーンコントロールできます。低域と高域をそれぞれ2段階で強調できます。
*充電式バッテリ(リチウムポリマ電池)と、USBバスパワーによる充電回路を内蔵しています。
*バッテリの電圧が低下すると、自動的に省電力モードになります。
*MP3データのストレージメディアとしてmicroSDカードを使用しています。
*FMチューナ内蔵です。
*ワイヤレスリモコンはカラーグラフィック液晶とダイヤルにより良好な操作性を持っています。
*JIS第2水準までの漢字フォントを内蔵しています。曲名/アルバム名/アーティスト名を日本語で表示できます。
*ID3タグV1.0/V1.1に対応しています。
*USBを接続すれば、microSDカードにリムーバブルディスクとしてアクセスできます。

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》ヘッドフォン本体
全体
完成です

ヘッドフォンはRev4.0と同じRP-HS102を使いました。もちろんネックコード巻き取り機能付きです。

ネックコードは交換してあります。もともと付いているものは被覆が樹脂でできたグレーのコードですが、長さ約90cmの編組被覆のものに換えました。もともと付いているコードではFMラジオのアンテナにするには短いために交換したのですが、ついでに、癖がつきにくい編組被覆のものにしました。肌触りもこのほうがGOODです。

TransFlashカード挿入口
microSDカード挿入口

以前はトランスフラッシュカードと呼ばれていた、恐ろしく小さなメモリカードです。このサイズで2GBの容量があります。

これはカードを半挿ししたところです。

microSDカードをセットしたところ
microSDカードをセットしたところ

カードをセットするとこんな感じになります。
カード全体が中に収まってしまうため、
ちょっと見ただけではわかりません。

指の先でカードを少し押し込むとイジェクトできます。

ヘッドフォン下部
ヘッドフォン下部

左端の穴にはリモコンと通信するための赤外線LEDが顔を覗かせています。ここはRev4.0ではバッテリ充電用のジャックが付いていたところです。
その右に電源スイッチと赤外線受信モジュール、さらにUSBのmini-Bコネクタが付いています。

LED表示−バッテリ充電中
LED表示−バッテリ充電中

ヘッドフォン側面にLED表示部を2箇所設けました。写真では赤ボタンの左側に並んでいる小さな丸い部分です。
光っているのは光パイプの端面です。基板上に取り付けたLEDからの光をここへ導くようにしてあります。

2つある表示部の上側は充電ステータスです。
赤の点灯は内蔵バッテリの充電中を示します。

LED表示−充電完了
LED表示−充電完了

充電が完了すると赤が緑に変わります。

LED表示−USB経由でメモリカードへアクセス中
LED表示−USB経由でメモリカードへアクセス中

下側のLEDはアクセスランプです。
USBを接続して、エクスプローラなどを使ってメモリカードへアクセスすると、青く点灯します。

内部の様子
内部の様子

Rev5.0の基板はこのヘッドフォンの寸法と形状に合わせて設計してあります。

左側の銀色の四角いものがリチウムポリマ電池です。その表面には、充電中に温度を監視するサーミスタが貼ってあります。

光パイプ
光パイプ

LEDの光をケース表面へと導く光パイプです。ちょっと見えにくいですが、写真中央部に2本あるツノのようなものがそれです。

φ2mmのプラスチックファイバを切って作りました。
ファイバの側面はマジックで黒く塗ってあります。2つのLEDの光が混ざるのを防ぐためです。

Rev5.0 ヘッドフォン本体基板
生基板

以前と同様、回路図作成と基板設計はEagleで行いました。製造はP板.comさんです。

実は、Rev4.0の時すでに『両面板ではもう限界かな』と思っていたのですが、さらにUSBとバッテリ充電回路を集積すべくがんばってみました。
設計ルールを0.15mmから0.127mmに下げました。これは現時点でのP板さんの製造限界である0.125mmぎりぎりのルールです。
あとCR類のフットプリントを、Eagle添付のものから、Rohm推奨の小さなものに変えました。
これらのおかげで何とか両面板に収まりました。
さらに以前の反省点なども考慮したので、Rev4.0よりも音が良くなりました。

Rev5.0 ヘッドフォン本体基板 - 表面
基板(表面)

基板表面です。
USBを扱うためにプロセッサをC8051F340に変更しました。
でもこれがまた大きい。VS1011eと同じパッケージサイズです。
USBのmini-Bコネクタの大きさから、この基板がとても小さいことが分かっていただけると思います。
右上の銀色の正方形がFMチューナモジュールNS953Mです。

Rev5.0 ヘッドフォン本体基板 - 裏面
基板(裏面)

裏にはmicroSDカードのコネクタが配置されています。
FMチューナモジュールNS953MはBGAなのですが、これを手はんだするための裏ワザスルホールが左上に見えます。詳しくはRev4.0の技術情報を参照してください。
下にある黒い長方形のデバイスは、USBによるリチウムイオン/リチウムポリマバッテリの充電とパワーマネージメント機能を集積したICです。

デバッグの様子
デバッグの様子

開発環境との接続には0.5mmピッチの4芯FFCを使用します。この形態はRev1.0の頃からずっと採用しているものです。

C8051F3xxシリーズのMCUは、C2インターフェースと呼ばれるたった2本の信号で、プログラムのダウンロードやリアルタイムデバッグができるようになっています。必要な信号がC2CKとC2Dの2本だけなので、それとVDD、GNDを合わせた4本をデバッグアダプタと接続しています。

左の写真にて10芯フラットケーブルと4芯FFCを変換している小さな基板はRev3.0の際に製作したものです。

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》ワイヤレスリモコン
ワイヤレスリモコン外観
完成です

形状はRev4.0と全く同じですが、ケース色を黒にしてみました。
右側に見える3つの黄色(実際はキャメル・イエロー)はプッシュスイッチです。
右上角の丸くなっているところには、アップ/ダウン操作用のダイヤル(ロータリーエンコーダ)が付いています。
ちょっと見えにくいですが、左上に赤外線通信用の送受信部が付いています。

写真はプレーヤ本体が停止しているときのものです。
Rev1.0の頃のデザインを使って、ロゴを作ってみました。(^^)

MP3プレイ中の表示
MP3プレイ中の表示

MP3を再生しているときの液晶表示の様子です。
最上部2行はステータスエリアです。
ボリューム値、トーンコントロール設定、本体とリモコンそれぞれのバッテリ電圧、再生中の曲番号、赤外線通信の状態が表示されています。

右端は操作用スイッチのファンクションを表示するエリアです。

中央にはRev5.0のロゴの下に、再生中の曲名、アーティスト名、アルバム名と再生時間がリアルタイムに表示されます。

MP3曲セレクト実行の様子
MP3曲セレクト実行の様子

曲リストからダイヤルで選んで、OKのスイッチを押すとジャンプします。

曲数が多い場合には、もちろんダイヤル操作に合わせてリスト表示がスクロールします。
このリストで曲をセレクトしてから、約5秒間操作をしないと、上のプレイ中表示に自動的に切り替わります。

MP3コマンドメニュー
MP3コマンドメニュー

MP3のプレイ中にメニューボタンを押すと、MP3関連コマンドのメニューが表示されます。
ダイヤルで選択してOKを押すと、そのコマンドに応じたサブメニューが表示されます。
写真はリピートモードを設定しているところです。

FMラジオ受信中の表示
FMラジオ受信中の表示

FMラジオモードのときは、プリセット局のリストが表示されます。
受信中の局は反転表示になります。

ラジオ局の選択は、MP3の曲セレクトと同様に、このリストからダイヤルで行えます。
,この中で、私の家で聞こえる局は、InterFM、beyfm、FM-FUJI、NACK5、TOKYO FM、J-WAVE、NHK-FM、FMヨコハマです。
ヘッドフォンを耳に掛けた状態でネックコードをいっぱいに出し、窓際で試してみました。

FMコマンドメニュー
FMコマンドメニュー

FMラジオ受信中にメニューボタンを押すと、FM関連コマンドのメニューになります。
写真は、ダイヤルでのマニュアル選局をしているところです。
普通のラジオの選局ダイヤルと同じような感じで、0.1MHz刻みで76.0MHz〜90.0MHzまで選局できます。

木製ケース
ケース

製作途中の様子です。素材はRev4.0の時と同じく木製です。
1mm厚の航空ベニヤとヒノキ材を使用しています。

ワイヤレスリモコン - ケース外観(表面)
ケース外観(表面)

ケースを斜め上から見たところです。

エンコーダのダイヤル部分はこんな風になっています。
側面の下、10円玉の近くに充電用のUSB-miniBコネクタがあります。

ワイヤレスリモコン - ケース外観(裏面)
ケース外観(裏面)

ケース裏面です。

操作スイッチとは反対側の辺の角を斜めに落としてあります。
これだけで見た目のボリューム感がぜんぜん違います。とても小さく見えるようになりました。

ワイヤレスリモコン - 内部の様子
内部の様子とリモコン基板の裏面

下半分の大きな銀色はリチウムポリマ電池です。
ヘッドフォンと同様、充電中のバッテリ表面温度を監視するサーミスタが貼ってあります。

電池と基板の間に、液晶モジュールのコントローラ部がはさまれる形で収まっています。
液晶のコントローラ部と表示部の間はFPCになっているので、そこで折り返してコントローラ部をリモコン裏側へと回し、基板と接続するようにしました。

ワイヤレスリモコン − ダイヤル
ダイヤル

厚さと大きさがピッタリだったので、イギリスの1ポンド硬貨を加工してダイヤルにしました。
外周のローレットにより操作感は抜群です。

Rev4.0ではプラスチックギヤを使用していたのですが、回したときの『カリカリカリ・・・』という軽い感じがイマイチでした。
その点1ポンド硬貨は厚く重いので、『コクコクコク・・・』ととてもいい感じになりました。
・・・加工はとっても大変でしたが。(^^;;; (ドリルで小穴→糸ノコ→ヤスリ仕上げ)

充電中
充電中の様子

USBを挿すとバスパワーでの充電が始まります。
充電ステータスは、液晶ディスプレイ右上のバッテリ電圧表示部の背景色で表示されます。
写真では赤地で"4.1"と表示されている部分です。
この地色が充電中なら赤、充電が完了すると緑に変わります。
充電中の消費電力を減らすため、15秒間無操作が続くとバックライトが減光するようにしてあります。

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》技術情報

回路図その他、技術的な説明はこちらへどうぞ。
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