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2008年10月26日 更新

超小型MP3プレーヤー [ Timpy ]
 
Rev6.0 【クリップ型MP3プレーヤ+インナーイヤーヘッドフォン】

Timpy シリーズ・ラインナップ

Rev5.0 【FMチューナ+ワイヤレスリモコン+USB】

Rev7.0 【1円玉サイズプレーヤ】


Timpy Rev6.0

クリップ型MP3プレーヤ

インナーイヤーヘッドフォン

超小型MP3プレーヤ [Timpy] Rev6.0

2007年5月 完成

前作Rev5.0までは耳かけ式のヘッドフォンだったのですが、電車の中での音漏れが少々気になっていました。
そこでヘッドフォンをインナーイヤー型にしてみたのが、このRev6.0です。

Timpyシリーズが耳かけ式のヘッドフォンを利用してきた最大の理由は組み込みスペースです。
左右それぞれに巻き取り機構が付いている、いわゆる『ダブル巻取り』とか呼ばれているタイプ(プラグコードとネックコードが両方とも巻き取れるタイプ)を使っています。
Rev5.0まででは、ネックコード巻き取り側はそのまま流用し、プラグコード側の巻き取り機構を取り除いてそこへ基板やバッテリを組み込む形をとってきました。

Rev6.0ではネックコード巻き取り側の発音体(マイクロスピーカ)を取り除き、そこに基板やバッテリを詰め込みました。
代わりとなる発音体はインナーイヤーヘッドフォンで、その上からかぶせるようにプレーヤ本体を耳に掛けます。
装着に違和感を感じさせないように構成を工夫してあります。

同時にRev6.0にはプラグコード側がありません。右耳用のインナーイヤーヘッドフォンがあるだけです。
ネックコード巻き取り機構をそのまま残してありますので、左耳側に巻き取れます。
コードが絡んでいらいらすることはありません。とても小さく収まって、かばんの中でもスッキリです。

プレーヤ部の機能はRev5.0と同等です。
microSDカード対応、FMチューナとUSB内蔵、ワイヤレスリモコンも使用可能です。

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》特徴

プレーヤ本体はイヤークリップ型(耳かけ式)、ヘッドフォンはインナーイヤー型
 耳かけ式ヘッドフォンで気になる音漏れを解消しつつ、うっとおしいプラグコードを排除することができる、ユニークなハイブリッドタイプです。

プレーヤ本体はTimpy Rev5.0と同機能
 コード巻き取り機能付きイヤークリップ型ヘッドフォンの片側に、Timpy Rev5.0基板とバッテリを組み込みました。つまりRev5.0の特徴である・・・
  ・FMチューナ内蔵
  ・microSDカード対応
  ・USBマス・ストレージ・クラス対応
  ・ワイヤレスリモコン使用可能
 を全て受け継いでいます。

ネックコード巻き取り可能
 巻き取り機構をそのまま残してありますので、写真のとおり、右側のネックコードを左側のMP3プレーヤ本体内に巻き取ることができます。
  コードが絡まってイライラすることはありません。かばんの中もスッキリです。

ヘッドフォンは両耳ともインナーイヤータイプ
 耳かけ式ヘッドフォンでの音漏れ問題を大幅に改善できます。

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》ヘッドフォン本体
全体
プレーヤ本体 : 耳かけ式ヘッドフォン SONY MDR-Q68LW

このヘッドフォンは耳かけ式で、左右の筐体内部にネックコードとプラグコードをボタンプッシュで巻き取れることが特徴です。
Rev6.0では、このヘッドフォンの左側だけを流用しました。
ヘッドフォンのスピーカ部を取り除き、そこにRev5.0の基板とリチウムポリマバッテリを組み込みました。

ちなみにRev5.0以前のヘッドフォン内蔵型では、右側に巻き取り機構、左側に基板とバッテリという楽な構成でした。
このRev6.0では全てを片側に詰め込んでいる点が特徴のひとつです。

実際のヘッドフォン : Etymotic ER-6i

『実際の』というのも変な表現ですが、上の耳かけ式ヘッドフォンMDR-Q68LWがプレーヤ本体(つまり音は出ない)であるのに対して、これは実際に音を出すためのヘッドフォンです。

ER-6iはインナーイヤー型の中でもカナル型と呼ばれるタイプです。
これを選んだのは本体が小さいから。ヘッドフォンを着けた上に重ねてプレーヤ本体を装着しますので、ヘッドフォンが大きいとプレーヤが浮いてしまいます。
装着感は実際に試さないと分からないので、実物に触れる新宿のヨドバシカメラへプレーヤ持参で行きました。
いろいろ試着?してみた結果、具合が良かったのはこのER-6iとAKGのK324P、あとiPod純正ヘッドフォンの2006年型(?)あたりでした。
私は耳の穴が小さいので、ほとんどのカナル型は端からNGなのですが、黒が欲しかったので敢えてこれにしました。もしiPod純正の黒があったら迷わずそちらにしたと思います。

装着の様子
装着の様子

装着はまず左側のER-6iを着け、その上にかぶせるようにプレーヤ本体を掛けます。その後右用のER-6iを、左側からネックコードを引き出して装着します。カナルと耳かけの二重装備は、思ったほど、というか意外なほどに違和感がありません。

ブルーメタリックのプレーヤ本体の下にER-6iが隠れています。両者をつなぐコードがループ状に見えてますが、パッと見にはそれと分かりませんね。(^^)
これがTimpyだと分かるのは反対側を見たときです。右耳側はER-6iなので。
左耳は耳かけ形、右耳はカナル型。そんな見た目のアンバランスさもRev6.0の面白いところです。

TransFlashカード挿入口
microSDカード挿入口

以前はトランスフラッシュカードと呼ばれていた、恐ろしく小さなメモリカードです。このサイズで2GBの容量があります。

これはカードを半挿ししたところです。

microSDカードをセットしたところ
microSDカードをセットしたところ

カードをセットするとこんな感じになります。
カード全体が中に収まってしまうため、
ちょっと見ただけではわかりません。

指の先でカードを少し押し込むとイジェクトできます。

ヘッドフォン下部
ヘッドフォン下部

左下にUSBのmini-Bコネクタ、右隣の黒い長方形が赤外線受信モジュールです。
その上に電源スイッチ、右にモニタLEDが2つ並んでいます。
イヤークリップの近く、右端に顔を覗かせている丸いものが、リモコンと通信するための赤外線LEDです。

充電とモニタLED
充電とモニタLED

左側のモニタLED(青)は、USBが有効の時にはmicroSDカードへのアクセスランプとして機能します。USB無効時は、電源ONのモニタとして、2秒に1回「チカッ」と点灯します。

内蔵バッテリはUSBのバスパワーで充電されます。
右側のモニタLEDは充電ステータスを表示します。このLEDは赤と緑の2素子入りで、赤なら充電中(写真)、緑なら充電完了を示します。

内部の様子−スポンジを外したところ
内部の様子−イヤーパッドを外したところ

本来ならヘッドフォンのスピーカがある部分に、バッテリや基板などのプレーヤ本体が組み込まれています。

黄色い大きな四角は250mAhのリチウムポリマ電地です。
表面保護のためにカプトンテープを巻いてあるため黄色く見えています。
電池の表面中央部に温度監視用のサーミスタが貼ってあります。

内部の様子−基板
内部の様子−基板

バッテリをどけるとプレーヤ基板が現れます。
シルクにありますとおり、Rev5.0の基板をそのまま流用しました。

内部の様子−操作スイッチ
内部の様子−操作スイッチ

デザイン的なバランスを考えて、Rev6.0では操作スイッチを3個にしました。
Rev5.0までは4個でしたので、"F"スイッチの長押しが"R"スイッチ操作となるようにファームを変更しました。

スイッチと配線はネックコード巻き取り機構に干渉しない位置を狙って埋め込んであります。

Rev5.0 ヘッドフォン本体基板
Rev5.0基板−カナル型とノイズ

ヘッドフォンとして開放型でなくカナル型を選ぶことについては、耳の穴のサイズだけでなく、実は別のためらいがありました。それはノイズへの心配です。カナル型は遮音性が高いので、プレーヤのS/Nが悪いと・・・悲しい想いをするのは明らかです。

SDカード(miniSD、microSD)は待機時に自動的にスリープモードへ移行します。このスリープモードとコマンド実行時では消費電流が100倍以上変動します。
それがアナログ系に影響するとノイズとなって聴こえるおそれがあります。
現にRev4.0以前の基板では、この電流変動が原因と思われるノイズが若干感じられました。
耳かけ式のヘッドフォンならば全く問題にならない程度なんですが、カナル型ではおそらくそうはいかないでしょう。

でも実際には杞憂でした。 Rev5.0基板は耳が痛いくらいの音量でもノイズが全然気になりません。
Rev4.0を作った後、このノイズ問題の改善も課題のひとつでした。そこでRev5.0の設計に際しては次の2つに重点を置きました。それは
 ○アナログ系とディジタル系で電源回路(レギュレータ)を分離する
 ○各機能ブロック間でグランド電流が回り込まないように配置とパターンを工夫する
所詮小さな両面板の中なので、なかなか納得できる形に至らずに、かなりの時間を費やしました。でも苦戦の甲斐あって、音質的に大幅に改善できました。
測定器を持っていないので定量的には定かではありませんが、少なくとも私の耳には十分な音質で鳴ってくれています。

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》ワイヤレスリモコン
ワイヤレスリモコン
ワイヤレスリモコン

上のプレーヤ本体は付属のプッシュスイッチ3個で全機能を操作できるようになっているのですが、操作性向上のために作ってみたのがこの専用ワイヤレスリモコンです。

3個のスイッチとダイヤルにより、再生開始や停止、選曲/選局、イコライザやリピートモードの設定などプレーヤ本体の全ての操作が可能です。カラーグラフィック液晶には再生中の曲/局データの他、バッテリ電圧やイコライザ設定などの状態が表示されます。第2水準までの漢字フォントを内蔵していますので日本語表示もOKです。

プレーヤ本体とリモコンの間は赤外線による双方向通信で結ばれます。テレビのリモコンと同様の変調光方式ですので、外乱に強く、距離も稼げるようになっています。とは言っても何mも飛ぶ必要は無く、片腕の長さの範囲で届けば十分なので、送信用LEDの電流は相応に抑えてあります。

★リモコンの動作の様子はこちらに写真があります → 【Timpy Rev5.0 ワイヤレスリモコン

★カラーグラフィック液晶の制御や日本語表示、赤外線通信についてはこちらへ → 【Timpy Rev4.0 技術情報

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》USB充電器
USB充電器
外観

外出先で内蔵バッテリを充電できるようにするためのアクセサリです。単3電池2本でUSBのバスパワー(5V)を供給します。

乾電池が使えて、サイズの小さいものが欲しいな、と思っていたのですが、市販の製品で気に入るものが見つからなかったので自作してみました。
USBに関わる回路は入っていません。シンプルに5Vが出るだけのものです。

写真は充電中の様子です。プレーヤ本体側の充電ステータスを示すLEDが赤く光っています。

USB充電器−内部の様子

USB充電器−内部の様子

USB充電器−内部の様子
内部の様子

DC/DCコンバータには、外付け部品が少なくて効率が良さそうなMAX1797を使いました。
ケースは秋月で売っている格安のスイッチ付き電池ボックスです。
ふたのネジ止め用ポストを削り取って、空いたスペースに回路を入れました。そのネジ穴から出力ONを表示するLEDが見えるようになっています。
回路部品の固定と、若干の放熱効果への期待を兼ねて、電池の+側端子板上に直接部品を実装しています。こういう芸術的(^^;;な作業で楽しめるのはアマチュア作品の醍醐味ですね。

肝心の動作については、とりあえず、きれいで安定した5Vが出ることを確認できた程度です。発熱も心配したほどではなさそうです。時間ができたらもう少しちゃんと評価してみようと思います。

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