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[ Pyxis ]
ハードウェア設計コンテスト
最終レポート

10.結果


表紙
目次

1. 製作の目的
1.1 対象
1.2 問題点
1.3 解決法
1.4 略記号について

2. システム概要
2.1 設計方針
2.2 システム的機能
2.3 動作の概要

3. システム設計
3.1 演算フローの検討
3.2 数値のデータ表現
3.3 式(1-5)の判定法

4. 機能ブロックの解説
4.1 システムブロック
4.2 加算・減算回路
4.3 乗算回路
4.4 Ox:Cx生成回路
4.5 Oy:Cy生成回路
4.6 Xx:Zx2−Zy2+Cx演算回路
4.7 Yy:2ZxZy+C演算回路
4.8 Rr:Zx2+Zy2演算回路
4.9 Cn:制御回路
4.10 回路図の構成

5. タイミング設計
5.1 タイムチャートの表記法
5.2 タイムチャート

6. 使用部品

7. 実装設計
7.1 基板
7.2 レイアウト

8. 製作

9. ハンドリングソフトウェア

10. 結果
10.1 実行時間
10.2 設計目標との対比

11. 終わりに

付録1 制御信号と出力条件
付録2 タイムチャート
付録3 部品表
付録4 部品レイアウト図 (約240KB)
付録5 回路階層と機能説明
付録6 全回路図 (約1.7MB)


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10.1 実行時間

 表10-1に,3種類の環境における描画時間の測定結果を示します.この時間には,すべて画面への描画時間も含まれています.描画条件は,

 これは,全ピクセルにおいてNMAX回反復する(全ピクセルがM集合に含まれる)場合になります.

環境

ハードウエア

ソフトウエア

描画時間

(c)との比較

(a)

自作CP/MシステムCPU:Z80A (4MHz)

Turbo Pascal Ver3

307200秒
(85時間20分)

3662倍

(b)

PC98XL (16MHz)CPU:80386,NDP:80387付き

Turbo Pascal Ver4

12800秒
(3時間33分20秒)

153倍

(c)

(a)+Pyxis

Turbo Pascal Ver3

83.9秒
(ストップウォッチによる測定10回の平均)

1倍

[表10-1]結果:描画時間の比較(描画条件は本文中を参照)

 この表に示されるように,期待通りの結果が得られました.(b)と比較しても十分に高速です.先に設計目標として掲げた "1分" の根拠は,描画の際にCRTの前で待っていられる時間として考えた値です.描画を開始してから数分なら待てますが,85時間では待っていられません.
 因みに,M集合の全体像(写真1-1)

の描画時間は29秒でした.このように,描画時間として十分に満足できる結果が得られました.

 ここで,回路の効率を検証してみます.
 パイプライン1段あたりの所要時間は,乗算回路のところで説明したように2.56μsecです. 従って,表10-1(c)における理想的な演算所要時間は,

 注1):パイプライン2段構成のため.
 注2):2ピクセル同時処理のため.

です.これは正確に(c)の結果と一致しています.(c)は描画を含んだ時間ですから,2.3で説明した演算結果Nx,yのバッファリングが効果的に作用して,ホスト側による結果の読み出しまでの待ち時間が発生していないことがわかります.同時に,演算回路が設計通り効率100%で動作していることが確認できました.

10.2 設計目標との対比

 第2章のはじめに掲げた設計目標各項に対する結果をまとめてみます.

(a)描画時間について.
 M集合全体を29秒で描画.

(b)IC代について.
 安い購入先を探すのに苦労しましたが,結局合計で \30,780.

(c)構成部品について.
 オシレータモジュールを除き,すべて標準TTLシリーズ(LS,ALS,F)で構成.

(d)演算精度について.
 完全64ビット表現により,十進有効桁18桁以上.

(e)ホストへの依存度について.
 10.1にて説明の通り,8ビット機でもハンドリングが十分可能な低依存度.

 以上をまとめると,予算を若干オーバーしましたが総合的には十分目標を達成できたと考えます.

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